ユーロ/円相場は、120円の節目を完全に突破し、122円水準まで値位置を切り上げている。引き続き円売り圧力が継続している一方、欧州経済に対する信認が着実に回復する中、ユーロと円の双方からユーロ高・円安が促されている。
欧州中央銀行(ECB)は1月25日、3年物長期利ファイナンスオペ(LTRO)の繰上げ返済が可能となる中、銀行278行が1,372億ユーロを返済することを明らかにした。初回のLTROでは4,890億ユーロが供給されているが、マーケットの予想を上回る規模が繰り上げ返済されることになり、欧州債務問題の沈静化が強く印象付けられる状況にある。また、1月の独Ifo景況感指数は前月の102.4から104.2まで上昇し、3ヶ月連続の上昇となった。欧州経済は必ずしも良好とは言い難いが、ドイツ経済がいち早く回復傾向を見せていることもユーロに対してポジティブ。2月1日の1月ユーロ圏消費者物価指数(CPI)が注目されるが、前月の+2.2%からの大きな変動は想定しづらい。ユーロ圏の金融政策見通しに影響を及ぼすリスクは限定的だろう。
一方、円サイドでは急激な円安に対する各国の反応が注目される。ダボス会議でもドイツを中心に、金融緩和による円安誘導に批判的な声が聞かれた。これまで静観していた米政府当局者からも、円の名指しこそなかったものの、競争ルールの遵守についての発言が聞かれた。ただ、安倍首相は28日の所信表明演説で改めて2%の物価安定目標を示すなど、特に緩和圧力が後退するような兆候は見られない。常に修正リスクに注意が必要な相場環境であるが、ユーロの値ごろ売りはリスクが高い。ユーロの押し目買い基調が維持される展開がメインシナリオになる。
今後1週間の予想レンジは、120.00~124.50円。